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MOVIE 2018.11.12
火花
日本映画(2017年)
監督:板尾創路
出演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃
「陰日向に咲く」を観るかのような気持ちで
お笑い芸人が執筆した小説。そう言われて最初にパッと思い浮かぶのは、劇団ひとりが書いた「陰日向に咲く」だった。2006年に刊行し、2008年には映画化した作品。まるでこの流れに沿うかのように、お笑い芸人・又吉直樹(ピース)も「火花」を書き、映画化、ドラマ化を果たした。異なる点と言えば、彼は第153回芥川賞を受賞したという経歴。どうしてもお笑い芸人(芸能人)が本を出し、映画化したとなると、ちょっとな…完成度って…ってなりがちな自分。出版業界が畑ではないし、片手間なんでしょ、趣味の延長でしょって思ってしまうからかもしれない。でも事前情報として、又吉の文学力は多くのバラエティー番組で目にしていたので、一般的な邦画を観る感覚で観ることが出来た。若干、人物設定が「お笑い芸人」という点に自分のフィールドで初戦に臨んだかと「ホーム戦」を感じてしまったが、単純に面白かった。ストーリーは、バラエティー番組で耳にする芸人がどうやってコンビを結成したかからスタート。「スパークス」という若手コンビでデビューするも芽が出ない徳永(菅田将暉)と、営業先の花火大会で出会った先輩芸人の神谷(桐谷健太)。常識の枠からはみ出た奇抜な神谷の芸風にほれ込んだ徳永は、「弟子にしてください」と申し出る。了承する代わりに出した交換条件は、なんと「俺の伝記を作って欲しい」とのことだった。2年後、舞台は大阪から東京へ。二人は毎日のように飲みに出かけ、お笑いについて熱く語り、才能を磨き合うも仕事はまるでなし。笑いに魅せられ、現実との葛藤を描いた10年間にもおよぶ青春物語。原作・又吉直樹の情報が先に立ってしまいがちだが、できれば目を凝らしてエンロールをご覧いただきたい。「監督 板尾創路」の文字が流れてくる。意外にも第3作目となる「火花」。シュールなキャラクターとしてドラマ、テレビ番組に出演している姿からは想像もできない物語に、ギャップを感じて仕方がなかった。