俺はまだ本気出してないだけ

まだ本気出してないから。って、いつ出すの？

「本当の自分をみつける」。40歳で会社を辞め、夢を追いかけ始めた中年・大黒シズオを描いた人気漫画「俺はまだ本気出してないだけ」が映画化。どちらかと言えば深夜ドラマのくくりに入りそうな漫画だけど、なんとメガホンを取ったのは「笑っていいとも！」「いきなり！黄金伝説」などの高視聴率バラエティー番組を手掛け、人気RPGゲームを題材にしたドラマ「勇者ヨシヒコ」、パンティをかぶった変態ヒーロー映画「HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス」など、コメディ色の強い映像を世に送り出してきた福田雄一監督。出演者には、山田孝之、ムロツヨシ、佐藤二郎など福田組と呼ばれるメンツが集結。ストーリーはシズオと周辺の人々の交流を描いたコメディ。バツイチ子持ちの中年親父（失業中）のシズオ、そんなダメ親父に説教ばかりしている父親の史郎、そして父親をあたたかく（冷たい目で）見守る鈴子は17歳の現役女子高生。この家族（主にダメ親父）を取り巻く生活がこの物語のメインです。普段、ダメ親父はファーストフード店でアルバイト生活を送っていますが、ある日、「漫画家になる」と人生の目標を発見。家族に宣言し、その日から漫画家デビューに向けて執筆作業をスタートするのです。何度も出版社に持ち込むも…惨敗、惨敗、惨敗。年下の出版社社員に「ボツ。」と冷たくあしらわれながらも、その懸命な頑張り（途中で心は折れましたが）の末に賞で佳作を取る快挙。劇中、たまに心の声（神様みたいな人）が「そろそろやばいって、どうするの？」とシズオに訊ね、シズオが「まだ本気出してないから、そろそろ本気出すから」と言い訳をするシーンがあります。人間、人生を生きていく過程でどこか堕落してしまうタイミングってありますよね。何もしたくない。グダグダしたい。そんな自分がダメだと分かっているけど、言い訳はいつもこれ、「やっていないだけ」。そんな人間の弱い部分がもろに出ている本作。分かる！分かる！の部分と、ちょっと頑張ろっかなって思える部分のバランスが絶妙な、くすっと笑えるコメディ映画です。