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MOVIE 2018.10.29
スノーデン
Snowden|アメリカ映画(2016年)
監督:オリバー・ストーン
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー
世界にはもうプライバシーなど存在しない。
NSA(米国家安全保障局)やCIAの職員としてのキャリアを持ちながら、国家機密を世界に暴露して政府に追われ亡命し、現在も亡命先のロシアで生活をしている実在の人物エドワード・ジョセフ・スノーデンを、実話を基に描いた社会派サスペンス『スノーデン』。しかも監督はなんと『JFK』のオリバー・ストーン。
2013年6月、香港のとあるホテルの一室で、ジャーナリストを相手にアメリカ政府の極秘情報を告発した天才プログラマーのスノーデン。その内容は、米国政府が全世界の通話やメール、SNSなどの情報を監視していた、そして自らがその端末とシステムに携わっていたという驚くべき事実でした。とどのつまり、それはスマホやパソコンを使って生活をしている人間に、プライバシーなど存在しない、ということです。政府から危険因子とみなされたら、あらゆるプライバシーの情報を勝手に集められ、つぶされる、ということでもあります。今こうして書いているこのコラムの原稿も、おそらくは膨大な「情報」の大河の一滴としてどこかにストックされているのです。「ねー、明日の飲み会どこにする?」「えー、また駅前のじゅんちゃんでよくね?」みたいなメールのやりとりも、すべてデータベースの中に蓄積されています。それらの監視システムの目的は、表向きはテロ対策、危険思想の監視による平和と秩序の維持でしょうが、当然裏を返せばそこにあるのは利権の保持と独裁政権。つまりは支配です。ちなみにスノーデンは日本の横田基地で仕事もしていて、曰く、もしも日本がアメリカの同盟国でなくなった場合、アメリカで押されるEnterキーひとつで、さまざまな日本国内のインフラを一瞬で崩壊させることができるそうですよ。
きっとスノーデンは英雄なのだと思います。でも、母国に帰れば重大な犯罪者です。優秀な頭脳と勇気と良心に従って行動すると、命を狙われる。いま自分たちはこういう世界に生きているんだな、と感じさせてくれる映画です。いつも思うけれど、告発モノとか陰謀モノが平気でじゃんじゃん興業映画化されるところに、アメリカの自由と歪さ、妙な透明性と闇の濃さを感じます。やっぱり日本とはまったく違う、と。あと、こっそりニコラス・ケイジが出演しています。かなり濃いめの存在感で。