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ダラスの熱い日

MOVIE 2018.4.23

ダラスの熱い日

Executive Action|アメリカ映画(1973年)
監督:デイヴィッド・ミラー
出演:バート・ランカスター、ロバート・ライアン、ギルバート・グリーン、ウィル・ギア

『JFK』の18年前に描かれていたケネディ暗殺陰謀論

ジョン・F・ケネディ暗殺を描いた映画といえばケビン・コスナー主演の「JFK」が最も有名ですが、それを遡ること18年、1973年に、米国内の陰謀説としてのケネディ暗殺を描いた映画が制作されています。それがこの「ダラスの熱い日」。暗殺にはこういう周到な準備が必要だよ、という、暗殺準備計画映画でもあります。

事件そのものの真相は今もって謎。事件発生後すぐ単独犯として捕まったオズワルドが「俺ははめられた!」と潔白を主張しているうちに、なぜかナイトクラブの経営者に射殺されるという不自然かつスピーディーな展開で事件はあっというまに幕を下ろし、死者に口なしというか、真実が明かされぬままオズワルド犯行説がそのまま公式の記録となりましたが、そもそもケネディは3方向から撃たれているのに犯人はひとりというのにはかなり無理がある。

で、事件の起こった1963年から10年後に、この映画が発表されました。元CIA高官や政府内部の人間、テキサスの石油王などが共謀して事件を計画し、オズワルドを都合よく犯人仕立てたという内容です。映画自体はニュース映像を織り交ぜて淡々と進んでいきますがすべては「暗殺」という一点に集約されるからか、ヒリヒリとした緊張感、冷徹さがあります。

何より感じるのは、衝撃的な事件からわずか10年で、陰謀説前提のこの映画が大衆の目に触れるというアメリカという国、そのいろんな意味での国の広さです。コンプライアンスが大好きな現代の日本であればこのような映画はおそらく作れない。作ることはできても、容易に上映することはできないでしょう。テレビCMとか絶対無理。サッカー日本代表のハリルホジッチ監督解任でスポンサー陰謀説が囁かれていますが、それがただの「説」というだけであっても、当然、テレビ局が放送することはないわけですから。もちろん陰謀説というのは非常に極端だから、陰謀を疑うこと自体に懐疑的な見方もあるし、証拠のないものは信じないという人もいますが、合理的な疑問に真っ正面から取り組むことで見えてきてしまう不自然な因果関係が、論理的思考の突き当たりに見える「映画的な景色」や「特定の人々の利害関係」だったりするのもまた事実です。

何が本当かはわかりません。陰謀説をどう感じるかも人それぞれです。ただ客観的な事実として、本編最後に次のような映像とナレーションが登場します。「ケネディ暗殺に関して大統領とオズワルドの死後5年間で、事件の重要証人18人が死亡した。彼らが1967年2月までの期間に死亡する確率は10京分の1であると保険専門家は計算している」。10京分の1って。パーセントで表すと、0.0000000000000001%ですよ。おお、怖。